三和木では、お客様とじっくり時間をかけてお打ち合わせをしながら、そのご家族がどのような暮らしを描いているのか、どんな空間で過ごしたいと思っていらっしゃるのかを丁寧にお聞きしています。

ただ「部屋数をいくつにするか」「どこに収納を置くか」という間取りの話にとどまらず、動線や空気の流れ、光の入り方や家族の気配の届き方までを視野に入れて、一邸一邸、暮らしのかたちを一緒に考えています。

そうした設計の中で、私たちが大切にしているのが「余白」のある空間づくりです。
機能的で便利であることと同じくらい、暮らしの中に“立ち止まれる”場所があることは、住まいの心地よさにつながります。

とりわけ、階段を上がってすぐの「ホール」と呼ばれるスペースは、住まいの中で もちょっと特別な“余白”として活用しやすい場所です。

階段の先にあるホールは、視界が抜けて明るく、風も通りやすい場所。
二階の個室へと向かう前の“通り道”であると同時に、そこで一呼吸置けるような場所でもあります。

広くとれば、すれ違いにもゆとりがあり、棚を設けて本を並べたり、デスクを置いて作業スペースにしたりと、暮らしに合わせて様々に表情を変えてくれます。

家族の誰かがふとそこに立ち止まり、何かを読んでいたり、作業をしていたりする姿が自然に浮かぶ、そんな“ちょっとした空間”が暮らしの風景を豊かにしてくれます。

また、一階とのつながりをほどよく保てるのも、この場所の魅力のひとつです。階段を介して下の気配が感じられるため、完全な個室とは違った“ひらかれた居場所”になり、たとえば寝室と子供部屋のあいだに配置することで、程よい距離感も生まれます。

私たち三和木では、こうした空間にも国産材を丁寧に用い、木の質感がやさしく、時間とともに味わいを深めていくような設えをご提案しています。
とくに杉や桧などは肌ざわりがよく、素足で過ごしたくなるような温もりがあり、長く安心して暮らす家にふさわしい素材です。

家の中でどこが主役かと考えると、どうしてもLDKや玄関といった“わかりやすい”場所に目が向きがちですが、こうした「通り道のようで、居場所にもなる空間」にこそ、そのご家族らしい暮らしの余韻が漂うように思います。

住まいの中の余白を、どこに、どう設けるか。
そんな視点を持っていただくと、家づくりの楽しさが少し広がるかもしれません。