三和木ブログ
miwaki Blog
2025.05.09
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秋田杉と和紙が出迎える、記憶に残る玄関
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- コラム、モデルハウスのご紹介
住まいづくりを進めていくなかで、つい間取りや設備、収納といった日常の使い勝手に意識が向きがちですが、玄関はそれらとは少し違う意味合いをもつ空間です。
単なる通り道や機能的な出入り口ではなく、家の第一印象を決める「顔」としての役割があり、住む方にとっても、訪れる人にとっても、その家の空気感や暮らしの質を感じさせる場所だと私たちは考えています。
三和木では、家全体の質を支える大切な要素として玄関空間の設計にも丁寧に向き合ってきました。
たとえば、大府展示場の玄関ホールには、そんな私たちの家づくりの思想が色濃く表れています。
扉を開けた瞬間に広がるのは、まるで旅先の宿のように落ち着いた空気。
余計な装飾を施すことなく、素材の持つ風合いを活かすことで、自然と気持ちがほぐれていく。そんな空間です。
玄関扉には、ゆっくりと時を重ねた国産ヒノキを採用しました。
整った柾目の流れは、凛とした佇まいを生み出し、外から中への切り替えを優雅に演出します。
木肌の美しさがそのまま「ようこそ」という歓迎の気持ちを伝えてくれる、そんな表情を持っています。
ホール正面に設えた壁面には、秋田杉と和紙を組み合わせました。
秋田杉は、きめ細かく美しい木目と、上品な赤みを帯びた色合いが特徴の銘木。
寒冷地でゆっくり育つため、年輪の密度が高く、狂いが少ないことから、構造材・造作材の両面で信頼されている素材です。
そんな秋田杉の表情を和紙の柔らかな質感で引き立てることで、空間全体にやさしい陰影と深みが生まれました。
また、天井は通常よりも高く設計し、空間にゆとりを持たせています。
限られた面積のなかでも、工夫ひとつで感じる広さは大きく変わります。
閉じた印象になりがちな玄関という場所に、伸びやかな開放感を持たせることで、外から帰ったときの気持ちまで軽くなるような気がします。
天井にさりげなく設置されたスポット照明は、杉の木目と和紙の陰影にほどよく光を添え、時間帯や季節によってさまざまな表情をつくります。
単に明るさを足すのではなく、素材の魅力を引き出すための光。
こうした細部にこそ、「素材にこだわる家づくり」の真価が宿ると信じています。
玄関は、日々何度も通る場所でありながら、そこにある風景は意外と記憶に残るものです。
だからこそ、ただ使いやすいだけでなく、そこに立つたびに気持ちが整うような、そんな空間であってほしいと願っています。
木の力、自然素材の力を信じて、長く住み継げる家を、これからも一棟一棟、大切に届けていきます。
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